4年前、秋田でアパレルの店長をしていた時に心を病んでしまった。
スタッフさんには嫌われて、マネージャーにはうまく相談できなくて。
スタッフさんとの関係に悩んでいた頃、当時付き合っていた彼氏と温泉旅館に泊まりに行った。
その日の夜、部屋でテレビを見てだらだらしていると、スタッフさんの1人から信じられないくらいの長文のLINEが届いた。店長である私への意見というか批判というか、文句が延々と書かれていた。収まりきらなくて「続きを読む」みたいなのが出てくるくらい、それでもスクロールしないと読みきれないくらい、ほとんど私の悪口で埋め尽くされていた。
具体的にどんな内容だったのか、思い返したくもないし二度と見たくもない。次第に忘れてしまったけど、とにかく衝撃でその日私は大泣きして熱を出して寝込んでしまった。頭が痛くてぼーっとして、彼氏がタオルを冷やして頭に乗せてくれたけど、あの日、私は心を失くしてしまったんだと思う。
その人はスタッフさんの中でも比較的話しやすい方だと私は思っていて、でもその人からそんな長文が届いたことにびっくりして受け止めきれなかった。関係再構築に向けて色々試していた中で、一人一人と面談したり話を聞いてきた1週間後くらいの話だったから、「何も変わっていない」という言葉が深く突き刺さってきて、いろいろ自分なりに頑張っているところなのにそれは認めてもらえないことが悔しくて悲しくて、1週間で見定められてはいダメと言われるのが怖くて、もう次へ進むエネルギーが無くなってしまった。
これは私にとって一番大きな出来事だった。それまで、心をすり減らしながらもなんとかなんとかいい方向へやれることをやろうやろうと思っていた中で、完全に心が折れてしまった。
マネージャーには休みの日に連絡すると「休みの日に連絡するな」と言われ、それなのに私は連休中の夜中に長文LINEを送りつけられる。上に相談もできず、でもスタッフさんを思い切り拒絶することもできないまま、全部自分で受け止めてしまった。そんなことを言わせているのも全部、店長として不甲斐ない自分のせいだったから。
でも、一方的なぶつけ方は対話でも話し合いでもなくて、もっと戦っていいことだったと思う。それが悔しい。こんなひどいことを言われました、ってもっと人事とかにも共有してこれくらいひどい状況なんです、って分かってもらえばよかった。店長が被害者ヅラしているみたいで嫌だったし、自分で言い訳だと思ってしまって、心からの助けてを言えなかった。いじめと同じで、具体的にこんなことを言われた、された、を伝えるのも情けなかった。あのLINEはそれきり二度と見ることはできなくて、でも今思えばスクショとかしておけばよかったなと思う。
確かにあの頃の私はまだまだ未熟で、ほんと生意気なガキにしか見えてなかったんだろうな。偉そうなことばっかり言って、本質を分かっていなかった。今思い返せばそういう自覚はあるけど、でもそんな若造に店を任せると決めたのは会社で、それもそれでやっぱりおかしかったんだと思う。やれと言われたらやるしかなかったし、それがおかしいことだともやっぱり思っていなかった。絶対的に経験が必要な部分もあるはずで圧倒的に経験不足だったのに、カバーできない自分の能力以上の仕事を押し付けられた。「店長に向いてない」って何度も言われて、でもできないことを自分の能力の無さのせいにするしかなかった。
って、なんで今こういろいろ思い返しているのかというと、今の心の状態が徐々にあの頃に近づいてきてしまっていると思うから。ただ単純に落ち込む日があって寝たら回復じゃなくて、常に心が落ちている状況が通常になりつつある。それが分かる。
今も会社の同僚とちょっと合わなくて気を遣うことが多くて、その状態が地味に数ヶ月続いている。直接的な無視とか思いっきり悪口言われるとか、そういう漫画みたいなことは起こらなくても、なんとなく機嫌がわるそう、そっけない、自分とは目が合わないとか、話しかけてもすぐ会話が終わるとか、そういう些細なことの積み重ねで神経が少しずつすり減っていたらしい。でも、そんなの本当くだらないなと自分でも思うから、あまり気にしないようにしてた。仕事上の会話ができればいいんだし、話さなくても支障はないし、無理に話さなくていい。
でもやっぱり空気が悪くなるのが苦手なのかなあ、同僚のことも完全に悪くは思えないし、向こうからしたら私も機嫌悪いとか感じ悪いとか思わせてるんだろうなと思ったら、できる限りこっちから普通に接しようとか、明るく振る舞おうとしちゃう。その度にピシャッと拒絶されては心はちょっとずつダメージを受けていて。いろんなことを気にしすぎるようになって、次第には他人と会話することが怖くなってきてしまった。
人にようやく愚痴った頃にはもう自分の中ではできることはやった後なのに、結局「考えすぎないほうがいい」とか「相手と同じ土俵に立たないほうがいい」とかそういう話になっちゃって、その人はもちろん悪く無いし私もそう思うから、その時はそうか次はそうしてみよう!とか素直に思うんだけど、でももういっぱい頑張ってきたんだよすでに。やれることやってきたのにまだ頑張らなきゃいけないの?立ち向かう元気とエネルギーが無いことにようやく気がついて、これいつまで続けないといけないんだろうと思ったらもう立ち上がれなかった。
悩んでるとか、大ごとにしたら余計に自分が深く考えすぎてしまいそうで、「気にしない気にしない」「平気平気」「大した問題じゃない」と思い込ませていたけれど、やっぱりそれは心の本音じゃなかった。本音を無視するのが一番よくないことってわかってるはずなのに、やっぱりここまで落ちないと気がつかない。「気にしない」って考え方、捉え方としては大事だけど、心が真っ先に感じちゃう本音はそうじゃなかったのになあ。メンタル強い人に憧れてその考え方を真似しちゃうけど、私の心は感じとっちゃう子なんだから変えられないのに。人がしんどそうな時は無理しなくていいのにと思う癖に、自分は強くありたくてこんなことで甘えていられないと思ってしまう。
あの頃も今もなかなか変わらないな。いつまでこんなことで悩み続けるんだろう。
あの頃は逃げて離れるしか自分を助けられる方法がなかった。今はまだ頼れる人がいっぱいいる。でも自分自身はどうしたらいいのか結局分からない。過ぎ去るのを待つしかないのかな。
変わらず情けないなとどうしても思ってしまうけど、感じやすい私の心だからこそ見えているものも絶対にあるはずだから。変えるんじゃなくてこの子を守れるようになりたい。あー憂鬱だな。明日は出勤できますように。