はじめのいっぽ

自分の心と向き合う、はじめのいっぽ。

『世界が終わる夜に』

“私が神さまだったらこんな世界は作らなかった”

 

 

初夏の夕暮れ。

空一面広がる分厚い雲に、夕日が滲んで染まって反射して。橙とうすむらさきの混ざった縞模様になる。

 

空気はまだまだぬるくて、ゼリーみたいに肌にまとわりついてくる。

雲の中では時折ぴかっと光るものがあって、

風は止まっているように静かかと思えば、一瞬荒ぶって強く吹きつけてくる。

気分屋の、夏の嵐。美しいのに騒がしい。

 

 

 

今日、世界が終わりそうな夜だなあと思う。

 

 

 

胸がキリキリする。

人の顔色や空気ばかり伺っていたら、今日は1日うまく笑えなかった。

顔がひきつって、ほっぺたがうまく持ち上がらない。目の奥が濁っているような気がして、瞼が重い。

感情が壊れて、笑おうとすると涙が出そうになる。

それをきゅっと耐えるから、また、感情がおかしくなる。

 

 

隣の人の会話が、周りのみんなの笑い声が、遠く遠く聞こえてきて、自分と切り離された世界のように思えてくる。

脳内ではぐるぐると自分の声が響いていて、どんどん内に篭って殻が閉じてゆく。

 

何がきっかけか理由か、もはや分からない。

見えないくらい分からないくらいの小さなトゲやささくれに、気づかないふりをして誤魔化していたらいつの間にか血だらけになっていた。

どうやって声を発していたかも分からない。

まるでその場にいないように、波風立てないように、空気に紛れ込んでいただけの日。

 

 

 

今日、世界が終わる夜。

 

 

 

 

 

 

世界が終わる夜に/チャットモンチー