はじめのいっぽ

自分の心と向き合う、はじめのいっぽ。

うつ病で仕事を辞めた子の話。

下書きにメモで残していた話を少しします。

 

 

 

2年くらい前に、一緒に働いていたスタッフさんの一人がうつ病を患っていた。20歳くらいの若い子だった。私はそのお店でも店長をしていた。

 

その子のことをふと思い出した。

 

ちょうどコロナが広がり始めたくらいの時期で、お客さんは激減してたけどどうにかして売り上げを取らないといけなくて、スタッフさん達も初めての経験だったし、最悪お店が閉店して仕事が無くなるんじゃないかってみんな不安がいっぱいだった。

 

その頃、もともと遅刻や早退が多かったその子が、ますます休みがちになっていった。

うつ病だなんて知らずに採用してしまったし、他にも色々問題はある子だったけど悪い子じゃなくて、おしゃれが好きでお店のお洋服が好きで、うまく接客できてお客さんに買ってもらえた時は嬉しそうに報告してきてくれて、一生懸命仕事に取り組んでいる姿も見てきた。ただ少し気分の浮き沈みが激しかったのかな。

 

夜の仕事をやってた時期もあったけどもうそこには戻りたくないとか、家族から離れたいとか、いろんな話をしてくれた。それでも体調がどうしても優れなくて欠勤や早退が増えて、その度に何度も話し合いを重ねて、シフトを減らしたり時間を調整したり、やれる範囲で続けてもらえるように妥協点を何度も探した。でもやっぱりうまくいかなくて、結局その子は最後はもう来れなくなってそのまま辞めてしまった。

 

できる限り寄り添いたかったし、本当は救いたかったけど、立場的に全てを受け入れることは難しくて。本人があそこから抜け出せるように最善を尽くしたけど、ずっと待ってることはできなかった。私自身もたくさん悩んだし苦しかった。

その子が休む分、私やスタッフさんの休みが無くなって、スタッフさんのイライラも募っていって、次は大丈夫、変わってくれるはず、って何度も期待してその度に裏切られるような気持ちで、どうしたらいいか分からなかった。その子が辞めた後も、しばらく人手が足りなくて大変だった。みんながその子のことを恨むような気持ちになってしまうのもよく分かった。

 

 

 

人を変えること、人を育てることって本当に難しかった。

 

それを知ったから、その立場の大変さも知ったから、病気を受け入れてもらうばっかりになるのは嫌だと思うし、そう考えると今の自分じゃまだ甘えてるよなって思ってしまう、時もある。だからいまだに働ける自信が無くて、新しい環境に行くのが怖くなる、時もある。

 

もちろんその子は最初に病気の話をしていなかったのも良くなかったと思うし、私が店長としてやれることはやり尽くした。あとは本人がどう働きたいか、どう病気と向き合っていくかだったんだと思う。

でも私も結局、適応障害になって逃げるように仕事を辞めてしまったし、同じような立場を経験した。あの時は、周りに恨まれると分かっていても、逃げる以外の選択肢が分からなくて自分でもどうしようもできなかった。心では変わりたいと思っても体がついてきてくれないこともよく分かる。

 

今の私だったらあの子に何をどう伝えられるんだろうと考える。一度思い悩んじゃった人はどうやったら戻れるようになるんだろう。